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自作オシロの入力アンプ

前回のオシロスコープ試作で入力アンプは差動増幅回路の方がいいのではないかと思い、インスツルメンテーション・アンプを用いたオシロスコープを作ってみました。今回も実験用ということで、前回のdsPIC33Fの基板に無理やり繋げました。白いユニバーサル基板が後付した入力アンプです。

入力アンプの回路

OPアンプの教科書などを見ると、インスツルメンテーション・アンプの実用的な回路として、次のような回路がよく紹介されています。R1やR2はOPアンプを動作させるための直流バイアス用抵抗、R3とC1、R4とC3はコモンモードノイズ除去、C2は差動信号の高域ノイズ除去のためにあるようです。しかし、自作オシロは30V程度の電圧も測定できるようにしたいため、入力信号を分圧するつもりです。その場合、R1,R2,R3,R4,C1,C2,C3からなる部分と同じ、もしくは定数倍のインピーダンスを持った回路素子が必要となり、インピーダンスを合わせるのが難しくなります。

もっとやっかいなのは、Vin0もしくはVin1がGNDと小さいインピーダンスで接地された場合に、Vin0とVin1間のインピーダンスが約半分になってしまい、分圧比が変わってしまうことです。Vin0やVin1が測定するオシロのGNDに繋がるようなことは普通はないと思っていましたが、試しに、試作オシロのGNDとSoftOscillo2用に作成したステレオケーブルのGNDをテスターで測ると、ほぼ0[Ω]でした。どうやら試作オシロはRS-232C経由でパソコンと繋がっており、SoftOscillo2用のケーブルもパソコンと繋がっているため、0[Ω]になるみたいです。実際、RS-232Cケーブルを外すと、抵抗値∞になります。作成中の電子回路をPCに繋いで、デバッグしながら波形を見ることは幾らでもありそうなので、上記のような回路で分圧するのはやめることにしました。

結局、「工作と物理のページ」にある自作オシロの回路を参考にしたり、MicroCap-9のシミュレーションでいろいろ試した結果、下記のような回路にしてみました。この回路では、Vin0-Vin1間のインピーダンスはR4とC4の並列回路とみなせるので、分圧回路の回路定数も簡単に決めることができます。また、Vin0がGNDに接地されたとしても、Vin0-Vin1間のインピーダンスに変化はなく、分圧比も変わりません。但し、このような回路の場合、C4に意味があるのかどうかは正直よく分かりません。なんとなく差動信号の高域ノイズを低減してくれていると期待しています。

dsPIC33Fの10bit ADコンバータの実験から、1チャンネルならば1Mspsでサンプリング可能であるため、入力信号の周波数範囲を50KHz(一周期20個のサンプル数)程度まで測定できるように設計しました。入力レンジの部分は、50KHzの信号でも入力インピーダンスがそれなりに高くなるようにコンデンサの容量を小さくしています。50KHzの信号の場合、Vin1-Vin0間の入力インピーダンスは、R2//-j(2πfC2) = 208 - j6766 [Ω] となります。
下段のボルテージフォロワはオフセット調整用で、交流の場合はVcc/2[v]付近を中心に、直流の場合は0[v]付近を中心に調整できるようにスイッチで切り替えるようにしています。後段のOPアンプは2次のローパスフィルタです。インスツルメンテーション・アンプの入力部分にローパスフィルタを挿入することができなかったので、後段にローパスフィルタを付けるようにしました。当初、ローパスフィルタを付けると必要なOPアンプが5個も必要になり、どうしようか迷ったのですが、次章で述べるように必要不可欠なものであることが分かりました。
上記回路図には描かれていませんが、OPアンプの電源電圧は±5Vの正負電源で、OPアンプの各ICに0.1μFのパスコンが付加されています。

波形観測

まず、入力アンプ回路の2次ローパスフィルタ(後段のOPアンプ、以後LPFと略す)がない状態で波形を見ることにしました。入力波形はSoftOscillo2で発生させた1KHzの正弦波です。青い波形が前回作成した入力アンプ(2次LPFあり)で得られた波形で、赤が今回の入力アンプで2次LPFがない場合の波形(スケールは500mV/div)です。明らかに、赤い波形のほうがノイズを多く含んでいます。

また、Vin0とVin1を短絡させた場合の波形(スケールは10mV/div)は次のようになりました。上が今回の波形、下が前回の入力アンプでの波形です。Vin0とVin1を同電位にした場合のノイズも、明らかに今回のアンプの方がよくないです。

インスツルメンテーション・アンプにしたためかえってノイズが発生するようになったのか、LPFを取り去ったためにノイズが削除されなくなったのか分からなかったので、とりあえず2次のLPFを追加してみることにしました。追加した時の波形は次の通りです。赤い波形が今回の入力アンプで2次LPFありの波形、青が前回の入力アンプの波形です。ほとんど同じぐらい綺麗な波形になっています。教科書では、AD変換ではLPFがノイズ低減に役立つと書かれていますが、やってみて初めてその効果がよく分かりました。

しかし、Vin0-Vin1を短絡させた場合の波形は次の通りで、それ程大きな効果はありませんでした。これはインスツルメンテーション・アンプにしたために、OPアンプの個数が増え、ノイズも増加したのかもしれません。

せっかく、インスツルメンテーション・アンプにしたので、Vin1とVin0に同相の信号を加えてみました。SoftOsillo2用のステレオケーブルからは左チャンネル、右チャンネルで同じ信号が出ているはずなので、それを測ってみました。結果は次のようになりました。上側がLPFがない場合、下側がLPFを追加した場合です(スケールは50mV/div)。明らかに改善されていますが、なんとなく1KHz程度の小さい正弦波が見てとれます(時間スケールは200μsec/div)。

今回、いろいろ試してみてLPFの威力を初めて実感しました。今回試した回路は2次LPFありで5個のOPアンプを使用します。2チャンネルだと10個となり、4個入りのICを使用すると、2個余ってしまいます。せっかくなので、次回は3次のLPFも追加して、5次のLPFにしてみたくなりました。また、今回使用した抵抗やコンデンサは誤差が5%程度のものでしたので、本番では誤差1%程度のものを使用してみたいと思っています。

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